走る前は「動かす」、走った後は「伸ばす」
ストレッチには大きく2種類あります。
- 動的ストレッチ:体を動かしながら、関節の動く範囲を広げていく。体温が上がり、筋肉が「これから動くぞ」という状態になる。→ 走る前向き
- 静的ストレッチ:止まった姿勢で、筋肉をじっくり伸ばす。疲れた筋肉をゆるめ、翌日に張りを残しにくくする。→ 走った後向き
走る直前に静的ストレッチを長くやると、筋肉がゆるみすぎて瞬発力が出にくくなると言われています。順番を入れ替えるだけで、ケガの予防と「速く走れる体の状態」を両立できます。
走る前の動的ストレッチ5種(約5分)
教室でも、練習の最初はこうした「動きながらのウォームアップ」から始めます。家で走る前や、運動会の朝にもどうぞ。
1. レッグスイング(足ふり)
目安 前後10回・左右10回 ×両足ねらい 股関節
- 壁や手すりに片手をつき、片足で立ちます。
- 反対の足を、ひざを軽く伸ばしたまま前後に振ります。少しずつ大きく。
- 次に、体の前で左右に振ります。上半身はできるだけ動かさないように。
2. ランジウォーク(大またで前へ)
目安 10歩 ×2往復ねらい もも前・お尻
- 大きく一歩前に踏み出し、前のひざを90度くらいに曲げます。後ろのひざは床にギリギリつかない高さ。
- 前の足で床を押して立ち上がり、反対の足で次の一歩へ。
- 上半身はまっすぐ。前のひざがつま先より前に出すぎないように注意。
3. ニーアップ(ひざ抱え歩き)
目安 10歩 ×2往復ねらい お尻・もも裏
- 歩きながら、片方のひざを両手で胸に引き寄せて1秒キープ。
- そのとき、立っている足のかかとを少し上げて背伸びをすると、ふくらはぎも一緒に動かせます。
- 足を下ろして次の一歩。左右交互に進みます。
4. 肩回し&その場腕振り
目安 前後10回ずつ+腕振り20秒ねらい 肩甲骨
- 両ひじを曲げ、指先を肩に当てて、ひじで大きく円を描きます。前回し・後ろ回し。
- 次に、走るときの腕振りをその場で20秒。ひじを後ろに引くことを意識します。
腕振りのコツは自宅でできる練習メニューでくわしく紹介しています。
5. アンクルホップ(足首でぴょんぴょん)
目安 20回 ×2セットねらい 足首・ふくらはぎ
- 両足をそろえて立ち、ひざはほとんど曲げずに、足首の力だけで小さく連続ジャンプ。
- 着地はつま先〜母指球(親指の付け根)で、「ポンポン」と短く。
- 縄跳びを持っているなら、前跳び30回に置き換えてもOKです。
ウォームアップの仕上げ
5種を終えたら、最後に20〜30mを「7割くらいの力」で2本走ります。いきなり全力を出さず、少しずつスピードを上げるのが、肉ばなれなどのケガを防ぐいちばんのポイントです。
走った後の静的ストレッチ5種(約5分)
走り終わったら、呼吸が落ち着いたタイミングで、止まった姿勢で伸ばします。1か所20〜30秒、痛気持ちいい手前で止めましょう。反動はつけません。
1. もも前(大腿四頭筋)
目安 左右30秒
- 壁に片手をつき、片足のかかとをお尻に引き寄せて、同じ側の手で足首を持ちます。
- ひざを真下に向け、お尻をキュッと締めると、もも前がしっかり伸びます。
2. もも裏(ハムストリングス)
目安 左右30秒
- 床に座り、片足をまっすぐ前に伸ばし、反対の足はひざを曲げて楽な位置に。
- 背中を丸めず、おへそをももに近づけるように上半身を前に倒します。
- つま先に手が届かなくても大丈夫。「背筋を伸ばしたまま」が優先です。
3. ふくらはぎ・アキレス腱
目安 左右30秒
- 壁に両手をつき、片足を大きく後ろに引いて、かかとを床につけます。
- 後ろ足のひざを伸ばしたまま、体を壁に近づけるとふくらはぎの上の方が伸びます。
- 次に、後ろ足のひざを少し曲げると、アキレス腱に近い下の方が伸びます。両方やりましょう。
4. お尻(殿筋)
目安 左右30秒
- あおむけに寝て、両ひざを立てます。
- 片方の足首を、反対のひざの上に乗せて「4」の字を作ります。
- 下の足のもも裏を両手で抱え、胸に引き寄せます。お尻の外側が伸びればOK。
5. 股関節(内もも)
目安 30秒 ×2回
- 床に座り、両足の裏を合わせて、かかとを体に引き寄せます。
- 背筋を伸ばしたまま、両ひざを床に近づけるように軽く押します。
- 余裕があれば、そのまま上半身を前に倒します。
お風呂上がりの「柔らかくなる習慣」
体がかたいお子さまには、走った後の5種をお風呂上がりに毎日行うのがおすすめです。体が温まっているときは筋肉が伸びやすく、短時間でも効果が出やすいからです。
- 目安時間5分(1か所30秒 × 5種 × 左右)
- 合図「パジャマを着る前にストレッチ」と決めると、歯みがきのように習慣になります
- 声かけ「10まで数えて」「ゆっくり息を吐いて」の2つだけで十分です
安全のために
- 反動をつけて伸ばすと、筋肉を傷めることがあります。じわーっと伸ばしてください。
- 「痛い」と感じるところまで伸ばすのは逆効果です。「気持ちいい」の範囲で。
- かかとやひざに繰り返し痛みが出る場合は、成長期特有の症状のこともあります。医療機関にご相談ください。
よくある質問
走る前に静的ストレッチ(止まって伸ばす)をしてはいけないのですか?
やってはいけないわけではありませんが、走る直前に長く伸ばすと筋肉が一時的にゆるみ、瞬発力が出にくくなると言われています。走る前は動的ストレッチを中心にし、静的ストレッチは走った後にたっぷり行うのがおすすめです。
体がかたい子は、どのくらいの時間やればいいですか?
1か所20〜30秒を、毎日続けることが大切です。1回に長くやるより、お風呂上がりに毎日5分のほうが確実に柔らかくなります。痛みを感じるほど伸ばすのは逆効果です。
ストレッチ中に息を止めてしまいます。
息を止めると体に力が入り、筋肉が伸びません。「10まで声に出して数える」「ゆっくり吐きながら伸ばす」と声をかけると、子どもでも自然に呼吸できます。
まとめ
走る前は「動かして温める」、走った後は「止まって伸ばす」。この順番を守るだけで、ケガをしにくく、速く走れる体に近づきます。運動会やかけっこの前にも、ぜひ今日の動的ストレッチ5種を思い出してください。



