体幹が強いと、なぜ速く走れるのか
「体幹」とは、おなか・背中・お尻まわりの、体の中心を支える筋肉のことです。走るときは、腕を振り、足で地面を押した力が、この体幹を通って前に進む力になります。
体幹が弱いと、せっかく腕や足で作った力が、上半身のねじれやブレで逃げてしまいます。逆に体幹が安定している子は、同じ歩数でもより遠くへ進め、後半も姿勢が崩れずにスピードを保てます。
教室でも、走る練習と並行して「姿勢を保つ」動き作りを取り入れています。家でも短時間でできるので、ぜひ習慣にしてください。
全メニュー共通のポイント
- 回数や秒数より、「正しい姿勢をキープできているか」を優先。
- 息は止めない。「10まで声に出して数える」と自然に呼吸できます。
- やわらかい床(カーペットやヨガマットの上)で行う。
① プランク
体を「一本の板」にする、体幹の基本
目安 低学年20秒/高学年30秒 ×2セットねらい おなか・背中全体
- うつぶせになり、両ひじを肩の真下について、つま先を立てます。
- ひじとつま先で体を持ち上げ、頭からかかとまでを一直線に。
- 目線は床の少し先。おなかに軽く力を入れたまま、数を数えます。
よくある崩れ方:お尻が上がって「へ」の字になる/腰が落ちて反り腰になる。どちらも横から見るとすぐわかるので、保護者の方が「板になってる?」と声をかけてあげてください。きつい場合は、ひざを床について行ってもOKです。
② サイドプランク
横ブレを防ぐ、わき腹の筋肉
目安 左右15〜20秒 ×2セットねらい わき腹・お尻の横
- 横向きに寝て、下側のひじを肩の真下につきます。
- 両足をそろえて伸ばし、腰を床から持ち上げます。頭・腰・足が一直線になるように。
- 上側の手は腰に当てるか、天井に向けてまっすぐ伸ばします。
よくある崩れ方:腰が下がって「く」の字になる。難しい場合は、下側のひざを床について行うと楽になります。走るときに左右にフラフラしやすい子には、特におすすめのメニューです。
③ バードドッグ
走る動きに近い「対角線」のバランス
目安 左右交互に10回 ×2セットねらい 背中・お尻・バランス
- 四つんばいになります。手は肩の真下、ひざは腰の真下。
- 右手と左足を、同時にまっすぐ伸ばします(床と平行に)。
- 2秒キープして戻し、次は左手と右足。腰がねじれたり、背中が反ったりしないように。
ポイント:右手と左足、のように「対角線」で動かすのは、走るときの腕と足の動きとまったく同じ組み合わせです。グラグラしてしまう子は、まず手だけ・足だけを伸ばすところから始めましょう。
④ デッドバグ
あおむけで安全に、おなかの奥を鍛える
目安 左右交互に10回 ×2セットねらい おなかの深い筋肉
- あおむけに寝て、両腕を天井に向けて伸ばし、両ひざを90度に曲げて持ち上げます(ももが床と垂直)。
- 腰を床に軽く押しつけたまま、右手を頭の方へ、左足を床すれすれまで、ゆっくり同時に伸ばします。
- ゆっくり戻して、次は左手と右足。
ポイント:腰と床のすき間が空いてしまったら、足を下ろしすぎています。足を下ろす高さを浅くして、「腰が床から離れない範囲」で行ってください。名前のとおり、ひっくり返った虫のような動きで、子どもたちにも人気のメニューです。
1日3分メニューの組み方
4つを順番に、休みをはさみながら行うと、ちょうど3分ほどです。
- 0:00〜① プランク 20〜30秒 → 休み10秒
- 0:40〜② サイドプランク 右15秒 → 左15秒 → 休み10秒
- 1:20〜③ バードドッグ 左右交互に10回(約40秒)→ 休み10秒
- 2:10〜④ デッドバグ 左右交互に10回(約40秒)
- 慣れてきたら全体をもう1周(約6分)。または、プランクの秒数を5秒ずつ伸ばす
自宅でできる走り方の練習やお風呂上がりのストレッチと組み合わせて、「お風呂前の10分」にまとめると続けやすくなります。
親子で続けるコツ
- 保護者も隣でやる:子どもは「一緒にやる」と驚くほど真剣になります。保護者の運動不足解消にもなります。
- 秒数を記録する:プランクの秒数をカレンダーに書いておくと、伸びが見えてやる気が続きます。
- テレビを見ながらでもOK:姿勢さえ正しければ、好きな番組の間にやっても構いません。
- 週5日できれば十分:毎日できなくても気にしない。「やらない日が2日続かない」を目標に。
安全のために
- 腰や首に痛みが出たら、すぐに中止してください。
- 成長期に重いものを持ち上げる筋トレはおすすめしません。ここで紹介した自分の体重を使うメニューの範囲で行ってください。
- 疲れて姿勢が崩れたら、そこで終了。崩れた姿勢で続けるほうが体に負担がかかります。
よくある質問
小学生が筋トレをしても大丈夫ですか?
重いものを持ち上げるような筋トレは成長期にはおすすめしませんが、ここで紹介する自分の体重だけを使った体幹トレーニングは、正しい姿勢で行えば小学生でも問題ありません。回数より姿勢を優先し、痛みがあれば中止してください。
体幹を鍛えると本当に足が速くなりますか?
体幹トレーニングだけでタイムが縮むわけではありませんが、走っている間に上半身がブレなくなり、腕振りや地面を押す力が前に進む力として使われやすくなります。走る練習とセットで行うと効果的です。
何秒できれば合格ですか?
低学年なら20秒、高学年なら30〜40秒を、正しい姿勢のままキープできれば十分です。長さを競うより、「お尻が上がっていないか」「腰が落ちていないか」を毎回確認してください。
まとめ
体幹トレーニングは、派手さはありませんが、走りの土台を作る大切な練習です。1日3分、お風呂前の習慣にするだけで、数週間後には「走っているときの姿勢」に変化が見えてきます。まずはプランク20秒から、今日始めてみてください。



